毎年恒例のNCKFの剣道夏合宿がサンタクララで開かれる。出張に重なることなく参加できて本当に幸運。今年も150人くらいの剣士が北カルフォルニア中から集まり、金曜から日曜日まで3日間日本から来ていただいた先生方に教えを請う。 今年は去年以上に基本重視。素振り、木刀による基本稽古、防具をつけての基本稽古、日本剣道形、審判練習、そして地稽古、かかり稽古、切り替えし、早素振りという感じ。
通常の参加者に加え、この秋にあるブラジルでの世界大会に向け、チームUSAのメンバーがLAから参加(4人)。いい機会なので、チームUSAのメンバー3人に稽古を願った。一人一人個性のある剣道で、とても練習になり又良い研究課題を見つけられた。
審判練習では、有効打突について、実際に審判をしながら、その判断の仕方についてピンポイントで指導していただく。二刀の方も加わり、とてもためになる審判練習であった。通訳をしていた自分はとにかく皆がいつも疑問に思っていることを一所懸命に先生に翻訳してぶつけてみる。クリアな回答を毎回もらい、参加者一同納得。

講師としては、おなじみ、元警視庁剣道師範、範士八段、太田先生がいらっしゃる。写真を一枚お願いする。これまで13年連続北カルフォルニアに来ていただいており、北カルフォルニアではもう伝説的。。。僕もここ数年稽古をお願いしては、5-6メートル吹っ飛ばされている。日本にいたら、垂れに日の丸がついている先生なんかに声をかけるなんて空恐ろしいが、カルフォルニアにいるから先生の稽古を間近で見ることが出来て大変ラッキーである。
今年も先生が見本として打太刀を打たれるが、昨年同様、どうやったらああいう切り下ろしができるのだろうと唸ってしまう。 又、数年前から教えていただいている「木刀による剣道基本稽古法」を今年も指導していただく。日本では10月から級審査に含まれるとのこと。僕も日頃から、できる限り素振りは刃引きか木刀で行い、なるべく刃筋、手の内、鎬の感覚を覚えるようにして、居合の理合、日本剣道形の理合、剣道稽古の理合を統合出来ればと稽古に励んでいる(といってもなかなか進歩しないが。。。)。

そして、毎年恒例、太田先生が連れてこられるもう一人の先生。今年は全日本でも世界大会でも常連の、範士八段、梯(かけはし)先生。写真を一枚お願いする。
梯先生はすごかった。。。180センチくらいの長身でどっしり構えるが、体捌きも剣捌きも無駄がなく、小さいかなと思わせつつ、打ち込んだ瞬間に、面や小手なら「スッパーン!」、胴なら「バッシーン!」とすごい音が道場に響き渡る。稽古をお願いした時に、「はい、ただいま、右腕切り落とされました。。。」というような出小手を打たれる。その後、他の人とやっているのを観察すると、一人平均三回くらい右腕を切り落とされていた。合宿3日間を通し200本くらい他人の腕を切り落としているはず。。。胴にしても同じく打った瞬間に「あっ、胴真っ二つ。」という感じで、その後抜こうが抜くまいが、一本になるようなすごい胴。そして何より体勢が全く崩れない。もうどういう足捌きと体捌きと剣捌きをしているのかよくわからないので、暇があれば、先生の稽古を見ていた。

毎朝ご挨拶に行き、出小手・胴打ち・すりあげ技・日本剣道形など前日からの疑問点を質問すると、とても丁寧に先生の考えを示していただく。「研究熱心だねぇー」と笑われていたので、「日本にいたら、人ごみ中で背伸びしながら30メートル先の先生の稽古を見れるかどうかですよ。直接質問できるなんて、しなかったら罰当たりです。」と思っていることを言うと、また笑われていた。
そして素振りの一貫として教えていただいた「すりあげ素振り」。ここ20年くらい考えていたけれど、「えっ、すりあげってこうするの?」ということを教えてもらい、他の剣士と納得。
そして先生の日本剣道形。仕太刀を打たれた先生の1本目の抜き、2本目の体捌き、4本目の受け流しと体捌き、5本目のすりあげ、6本目のすりあげと体捌き、小太刀1本目・2本目の受け流しの際の乾いた音と体捌き。剣道と剣道形が同じ動き。僕もこういう剣道に向けて稽古を積んで行きたいなあと思うのだった。

又いつも丁寧に対応していただき全く頭が下がると同時に尊敬の念が沸き起こるのだった(さわやか太田先生も同じ)。もちろん聞いた事はすぐいろいろ試してみたが、なかなかうまくいかない。でも、心に焼きついたあの感じを頼りに、聞いたことやノートに取ったことを日々の稽古で試していく。しっかり稽古しなくちゃなあ。。。
この夏はあと居合道の合宿に参加する予定。去年同様、伊藤先生が来られるのでしっかり学ばなくては罰当たりである。最近ばたばたしていて居合の練習が良く出来ていない。合宿参加、ちょっと気が引ける。。。