Sunday, January 3, 2010

Taro Okamoto & Noble(岡本太郎さんと気高さ)

あっという間に冬休みが過ぎてしまう。今回の冬休みは、うれしいことに家族が増えてにぎやかな反面、一人で洞窟に篭ってどっぷり思考するような冬篭りの環境は作れず。僕の場合、時々、自分は何やっているんだろうかと力が入らなくなり、焦点が合わなくなることがある。何か物事がうまくいかない時や精神が開かない時。まあこういうのは誰でも経験があると思うけれど。だから年末に冬篭りして、腹にぐんと来るような本を10から20冊読み、物を書いてもう一人の自分と正直にじっくり対話すると、洞窟から出た時に見上げる青空のような、そんな再生の気持ちが体いっぱいに広がり、新しい年に取り組む気構えが出来る。熊とかも冬眠の後、いくぞーって感じなんだろう(腹減ったーという感じでもあると思うけど)。

そんな時に必ずといって良いほど読み返すのが岡本太郎さんの本である。ぐっと腹にこたえる共感と共に、精神が研ぎ澄まされて、集中力がぐーっと先へ伸びる。彼の本はハウツーではない。生き方。こうしろでもない。僕はこうなんだである。文化論であろうと、芸術論であろうと、切り口は同じで、指針というのだろうか、筋が通っているというのであろうか。彼の人生の理不尽・矛盾に全身で飛び込んでいくそのドラマには、いつも共感を覚えて血が沸き立つ。やる気が出るとかではない。全身が反応するという感じ。

ということで長い冬篭りは出来ないまま、今回はとにかく岡本太郎さんの本を何冊か持ち出し、家族でゴールデンゲート公園やプレシディオ公園へ散歩がてら話したり、途中のカフェで読書をしたり、いろいろ考えてみた。これからは冬篭りもそう長く出来ないので、生活即思索。こういう風に歩いていながらもすっと洞窟深く篭れるようになれなくては。

精神が開かない時どうするか。忙しい方がいい。無心ではないが一心になり目の前のことを一所懸命にやることで精神もだんだん開いていく。しかし、ふと辺りを見上げた時に、時間はあっという間に過ぎたのにぜんぜん前へ進んでいない自分を見てはっと焦る。だから、がんがんやる前に、静かに座って方向性や方針を決めておくのがいいのだけれど、この方向性と方針の具体化がやっぱり難しい。そこをなんとか強引に方向性と方針を冬篭りで打ち出すパターン。でも方向が見えない時に決断しなければいけない場合「後悔しない選択」でやるようにしている。太郎さんは、必ず危険な道を選ぶとすごいことを言っているけど。これが、損得勘定や安定志向で消されてしまいがちな、小さな小さな心の声の方向性をつかむこつかもしれない。

ところで最近、方針としては、「気高さ」かなと思う。「気品」ともいえるかもしれない。きれいな格好をして、礼儀正しくて、威厳があるとかいうのではない。もちろんお金持ちとかそういうのは全く関係ない。その人の目の透明度、充実度、みたいなもの。自分の感じとしては、お風呂から上がった颯爽とした気持ちというか、精神が広がる瞬間に感じられる空がすーっと高くなる感じというか。だとすると、どうすればそういう気高さが生まれるのか。たぶん、自分に嘘はつなかいこと、自分に厳しいこと、人と比べない自分を全力で生きている自信、決意と覚悟だと思う。そういう内面の充実・のびのびとした自信が目や雰囲気に現れ、空を高くするんだと思う。僕は岡本太郎さん、シンガポールで会った喉に穴の開いたおっちゃん、雑誌に載っていた新幹線で車内販売をリードする女性、祖母、そんな肩書きとかとは無縁の人からこれを感じる時がある。

太郎さんは、人生の理不尽・矛盾からどうやって自分を守り・確立しようかと悩み続けて、その結論が「守らないこと」だった。自分のマイナス面との一生の取っ組み合い。あのすさまじい生き方が出来るかわからないけれど、怖い時こそ自分を捨てて飛び込む、そんな武道の真髄でもある生き方を日々積み上げて行って、一人でのびのびと充実できるそんな風になりたいと最近思う。

2010年、相当なチャレンジが僕らの前に立ちふさがるでしょうが、一緒に頑張りましょう!応援が必要な方、岡本太郎さんの書籍、お勧めです。

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